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天空の城 ラピュタ -クイズー

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今日は久しぶり金曜ロードショーで「天空の城 ラピュタ」が放映される。

この映画、宮崎駿監督の初期の作品であるが、王道の冒険ストーリーにテンポの良い展開で非常に人気がある。

セリフや登場人物も実に愉快なものが多いのだが、その中でも特別そのカリスマ性・悪役っぷりが一部の界隈では人気なのがムスカ大佐だ。

 

本記事ではこの作品についてのクイズをいくつか掲載しよう。ラピュタを何度も見込んだ私の出題する上級問題だ。9割以上の正答率を得たものはラピュタ・マスターと言って良いだろう。正解は一番下に記載している。

是非、解いてくれたまえ。

 

 

Q1. 本作品におけるムスカ大佐の最初のセリフは次のうちどれ?

A.食い止めろ

B.君は床に伏せていたまえ

C.手こずらせたな

D.制服さんの悪い癖だ

 

Q2.主人公パズーは鉱山の見習い機械工であるが、このパズーの職場がある渓谷の名前は?

A.リーグ渓谷

B.スラッグ渓谷

C.ライナー渓谷

D.マーレス渓谷

 

Q3.ムスカ大佐の本名はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタであるが、この「ウル」ラピュタ語でどういう意味か?

A.神

B.王

C.真

D.長

 

Q4.ドーラがゴリアテの無線を傍受するシーンがあるが、ここで傍受したモールス信号は解読するとどういう意味になるか?

A.imperial centering kingdom

B.fidelity manufacture studio

C.misterious flying castle

D.40 seconds waiting

 

Q5.ムスカ大佐はラピュタ上陸後、密かに無線機を全てぶっ壊している。この際軍に損害が出ているがどのような損害が生じたか

A.当直の兵1名が死亡

B.当直の兵1名が重傷

C.当直の兵数名が重傷

D.当直の兵数名が死亡

 

Q6.ムスカ大佐によれば、ラピュタ内部にある、ラピュタの力の根源である巨大な飛行石は何年もの間、王の帰りを待っていたか

A.100年

B.300年

C.700年

D.1000年

 

Q7.飛行戦艦ゴリアテの乗員数は何人か

A.160人

B.260人

C.360人

D.560人

 

Q8.シータがロボットを起動させた呪文は?

A.リータ モーリウス ランダ ハームドラ エル ギリール

B.リーテ ラトバリタ ウルス アリアロス バル ネトリール

C.リーテ ラビリス ウルス キーサリス キル ラマース

D.リータ ラトバリタ ウール アトマーク サミユゴ ガリヤール

 

Q9. 次はムスカの大佐らしい高い指揮能力の片鱗がうかがえるセリフである。「私はムスカ大佐だ。ロボットにより通信回路が破壊された。緊急事態につき、私が臨時に指揮をとる。ロボットは____の塔の少女を狙っている、姿を現した瞬間を仕留めろ。砲弾から信管を抜け、少女を傷つけるな」(完答)

(a)空欄を埋めよ

 A.南

B.西

C.東

D.北

(b)「砲弾から信管を抜け」とあるが、なぜこのように指示したのか

A.砲弾の威力を上げるため

B.砲弾が榴弾であったため

C.砲弾の威力を弱めるため

D.砲弾の安全装置を外すため

 

Q10.ムスカ大佐の愛銃は次のうちどれ?

 A.

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B.

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C.

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D.

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ーーーーーー以下、答えーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

  1. A 侵入してきたドーラ一派を迎撃する特務機関員らに冷静な指示「食い止めろ」
  2. B 「Slag」鉱石の残りカス。劇中では産業革命の影響で功鉱石がとりつくされた渓谷なので。
  3. B トエルは真、ウルは王、パロは偽。ムスカラピュタ王家の分家の末裔

4.A モールス信号を忠実に解読するとこうなる。手作りに忠実なスタジオ=ジブリそのもの

5.C なんと無線機を壊す際に兵士数名を重傷に追いやっている、大佐としての戦闘力も高い「私もあまり手荒なことはしたくない」...

 6.C 「700年もの間、王の帰りを待っていたのだ」

7.C 360人。全長300m級の戦艦にしては乗員数は実はかなり少なめ。300m級空母のジョージ・ワシントンの場合、戦闘員だけでも5000名以上。

8.B ラピュタの封印を解く呪文であった。

9.(a)D 「北」の塔である。

 (b)B 信管を抜かないと着弾と同時に起爆して破片をまき散らす。要するに榴弾であり、シータを死傷させる危険があったため。ムスカにとってシータはまだラピュタ王女として利用価値があった。

 10.A A.エンフィールドNo.2  B.ニューナンブM60 C.ワルサーPPK D.コルトニューサービス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界三大苦痛に関する研究

 

 

今日は世界三大苦痛を取り上げる。

 

私の父が最近再就職を果たしたが、隣のおっさんが尿路結石らしい。それはものすごい激痛だとか...

 

さて、「痛覚」とは我々の身体に異常が起こっていることを知らせるセンサーであり、我々の命を守るはたらきをしている。痛覚がなければ無意識に多くの人が亡くなることになるかもしれない。しかし、皮肉なことに我々人類は知覚が鋭すぎる・自我を持つがために、この「痛み」を特段嫌う。そのため、極力けがをして痛みを伴わないようにしている。人が「死」を最も恐れるのは、死んだ後どうなるかとかではなく、死に際に必ず伴うこの「苦痛」を恐れているからだ。だが、時に人は事故・病によってこの「痛み」「苦痛」と向き合わねばならない場合もある。

意図せずして起こる痛みの中でも世界三大激痛と呼ばれるものがある。今日はこれらを紹介するとともに、これらに遭遇しないための作戦も提案したいと思う。

 

1.尿路結石(Kidney Stone disease)

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http://juntendo-urology.jp/disease/尿路結石/ (順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿科より引用)

全長2cm程度。こんなものが腎臓や尿管に詰まるのだからエゲツない。。。

 

冒頭に紹介した尿路結石である。その名の通り、尿路・腎臓管・前立腺・膀胱管に何らかの原因で石がつまってしまうことである。狭い管の中に大きな石が詰まる...うーん、なんとも痛そうである。男性は40歳、女性は50-70歳で発症するケースが多い。

症状としては、排尿が十分できないことによる腎臓への逆流・内圧の急上昇によって、腹部・腰部・背中の激痛、血尿、外陰部の激痛、血尿を引き起こす。最悪である。失神することもあるらしい。

 

その形成は動脈硬化と似通っており、メタボが原因の一つである。体外より衝撃波によって破砕する技術が発達したため従来よりは治療は容易になりつつあるようだが、依然として再発することもあり、過酷な苦痛を伴う。この体外衝撃波破砕技術はもともと、衝撃波で潜水艦を破壊する軍事兵器化を目的とした技術だったが実用化がとん挫して医療技術と化した経緯がある。やはり、軍事技術は科学技術と密接だ...

 

さて、この恐るべき病を避ける方法だが、以下の三点がよく唱えられる。

・水分をよく摂取する=頻繁に排尿することで尿の石化を抑える

・肥満にならないこと・脂肪を取りすぎない・ビール飲みすぎ注意=動脈硬化と同様

・食生活は良好に

・軽い運動=運動によって結石が砕けやすくなる

・カルシウムを適度に摂取する=ホウレンソウやキャベツなどにシユウ酸が含まれ、このシユウ酸は主要な原因物質といわれている。さすがに野菜を摂取しないわけにもいかないためシユウ酸を吸収するカルシウムを適度に摂取することが望まれる(過剰摂取は逆に結石を促進する)。

 

2.心筋梗塞(Myocardial Infarction)

 

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これもまた有名な病気である。心筋へ酸素や養分を供給する冠動脈が何らかの原因で詰まり、心筋が壊死し、心臓の動きを停止させるものである。狭心症はこの前段階の症状である。

一度発症すると、強烈な胸の痛みが15分以上、場合によっては数時間続くこともあるという。持続時間が長い場合、失神することもあるという。なお患者の20%程度は無痛性心筋梗塞であり、こちらは痛みがなく幾分か楽に思えるが発見が遅れるため致死率は高い。「痛覚」はやはり生命を守る重要な感覚であるようだ(とはいえ、やはり人間は苦痛を恐れる)。

男性の方がリスクが大きいとされ、45歳以上ならば注意が必要である。

予防としては、

・肥満、脂肪を控える=動脈硬化を防ぐためにも

・喫煙を控える

・ストレスを溜め込まない=ストレスは自律神経系に大きく影響、心臓へも悪影響を与える

・高血圧は危険信号

といったことが検討される。

 

原因は動脈硬化、あるいは他の病による血栓の生成が多い。

突如として心筋梗塞に襲われるケースが多いらしいが、前兆もないわけではない。

 

けやき坂クリニックhttp://www.keyakizaka.com/column/cardiology/290-warning-signs-of-angina-pectoris/によれば初期症状として

・胸が締め付けられる違和感、鋭い痛みはない、なんとも言えない感覚らしい

・数分程度その違和感は持続する

があるものの、これはかなり気づきにくい。

 

また、これらの発作は特定のきっかけが元で発症することが多く、緊張、緊張からの解放、寒さ、タバコなどがある。

例えば冬の日、タバコを吸いに外へ出て一服したところ発作が起こった、などということは代名詞的な発作の例らしい。

 

3.群発頭痛(自殺頭痛)(Cluster Headache)

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群発頭痛を再現した絵。http://karapaia.com/archives/52164495.htmlより引用。著作権上、引用元を記しておいたが、この絵の作者が誰なのかは引用元でさえ分からないようだ。

 

三番目はこの群発頭痛。あまりの痛さで自殺したくなるほどの痛みらしく、自殺頭痛とも呼ばれる。目を抉られているようだと形容されることもある。偏頭痛と同じく片側のみに起こるが、じっとして痛みが引くのを待つではなく、患者はのたうち回るという。恐しい。

 

群発、と名前にあるようにある一定の期間に集中して発作が起こる。この期間は群発期と呼ばれる。発作の時間は15分程度から3時間以上など様々。群発期にはその発作が毎日何度も起こる。20-40の男性に圧倒的に多い。偏頭痛自体は女性に多いが、群発頭痛は男性に多いのだ。 

 

明確な原因は不明であり予防策も不明。男性ホルモン説、遺伝子異常説、体内時計異常説などあるが、はっきりしていない。痛みの根源は、脳内の血管の拡張のせいだと考えられている。一定周期におおよそ決まった時間帯に起こるため、体内時計とは大きく関係していそうだ。

それまで偏頭痛の経験がなくとも、突如発症することも多いという。

 

治療法は確立されておらず、発症した場合、とにかく耐えるしかない。頭痛頻度を抑える薬はあるが効果は限定的。発症したら苦痛が永遠に続くこととなる極めて凶悪な病だ。

 

一部のキノコに含まれるシロシビン、麻薬の一種であるLSIは群発期の頻度を大幅に減らすことがあるという。これはまだ研究段階だが、研究の発展が待たれる。 

 

私も強烈な偏頭痛に襲われたことが人生で3度もある。その時は群発頭痛ではないかとヒヤヒヤしたものである。しかし、のたうち回るほどではなかったため、ただの偏頭痛だと思うが。大学三年まで一度も発症したことがなかったのに突如発症したことは何か関連性がないともいえないかもしれん。

 

1回目は大学三年の時。当時は久々に始めた遊戯王に夢中になっており、デッキを練るために朝6時まで練り続け、12時に目覚め友人と大学で遊戯王をしていた時だった。突如強烈な頭痛と吐き気に襲われ嘔吐し、保健室に行ったが2時間程度で収まった。これは寝不足によるものだと思った。

2回目は大学院1年生の時、自宅にいる時急激な頭痛に襲われた。こちらも冷やした枕で寝続けたら2時間程度で収まった。この時の原因は不明である。

3回目はつい最近3月中旬、就活でJR東海のリクルーター面談の帰りの最中、電車に乗っている時閃輝暗点に襲われた。閃輝暗点とは、視界が急に眩しくなり奇妙な光の点が見える現象である、偏頭痛の前兆とも言われる。こちらも後々詳しく記事にしたい。これはストレスで疲れているからだろう、と思っていたが。軽い頭痛が10分くらいだったがあった。気を失いそうになるほど奇妙な感覚に襲われたが、当時はここで病気になったら就活に支障が出ると思い、気合いで気を失わないようにしていたら30分で収まってしまった。一体あれは何だったのか。まあわりと気合いでうおおおと耐えるマインドは大切だと思った。

 

とにかくこの『自殺頭痛』の恐ろしいところは、原因不明・予防方法不明・治療不明の三点揃いのところである。この病にだけはかかりたくない!

 

4.番外編 歯にフツ酸

これはよく痛みランキングの最上位に上がる出来事である。なんでも被害者が痛みのみで死亡してしまったためだ。

1982年に発生した八王子歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故が由来となっている。当時3歳の女児は歯の治療のため八王子市内の歯科医院に訪れていたが、そこの当時69歳の医師は女児の歯にある液体を塗布した。女児は辛いと訴えたものの、医師はさらに塗布を続け、女児はやがて転がり落ちて痛み苦しんだという。そしてやがて死亡した。

医師が誤って塗布したものはフッ化水素酸であった。誤ってしまった原因は、注文ミスと瓶表示の読み違えの両方であるそうだ。不運な事故である。

話が派生してフッ酸を塗りつけたら直後に2m飛び跳ねて即死したとかいう話が出回り、痛みランキングの上位に来ることがある。さすがに2mは驚きである。

 

さて、諸説あるもののいかがだっただろうか、三大苦痛。

週刊現代の記事http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50215によれば、医師から見た痛い死に方の病気ランキングが載っている。こちらもまた上記の三大苦痛とは別のものがたくさんある。痛い病気はたくさんあるようだ。

できるだけこれら苦痛の伴う病になるのだけは避けたいものである。

群発頭痛はどうにもならないが、尿路結石と心筋梗塞はある程度予防できる。どうにもならないこともあるが...

とにかく、肥満には注意しよう。肥満はどの病のリスクにもなりあるようだ。生活習慣、食習慣と相応に重要なようだ。

 

 

 

軍事産業に関する研究

 

 

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1.世界の軍需企業

 日本に住んでいるとつい軍需産業のことなど考えない。死の商人と揶揄・卑下されることもある。しかし世界を見てみると、軍事というものの持つ影響力・必要性・役割は極めて大きい。テクノロジーの進歩によって軍事力はかつてより飛躍的に大きくなり、現在進行形で進化し続けている。これらハイテクな兵器は世界のどんな企業で生産されているのか。軍需企業といえばこの国、アメリカ合衆国である。この国にはローキード・マーチン、ボーイングノースロップ・グラマンなど名だたる世界的軍需大企業がある。軍事に関するアメリカ合衆国の出版会社Sightline Media Groupによる調査(Top 100 | Defense News, News about defense programs, business, and technology)によれば、2016年中での軍事関連分野による収益が大きいトップ10企業は次の表のとおりである。

順位

企業名

国籍

軍事部門収益

(億円)

軍事収益/全収益(%)

1

ロッキード・マーチン

(Lockheed Martin)

アメリ

合衆国

43468

92

2

ボーイング(Boeing)

アメリ

合衆国

29500

31

3

BAEシステムズ(BAE Systems)

英国

23621

91

4

レイセオン・カンパニー

(Raytheon Company)

アメリ

合衆国

22384

93

5

ノースロップ・グラマン

(Northrop Grumman)

アメリ

合衆国

20200

82

6

ゼネラル・ダイナミックス

(General Dynamics)

アメリ

合衆国

19696

63

7

エアバス(Airbus)

オランダ

フランス

12321

17

8

L3・テクノロジー

(L3 Technologoies)

アメリ

合衆国

8879

84

9

レオナルド(Leonardo)

イタリア

8526

64

10

タレス(Thales)

フランス

8362

50

 1-10位は前年2015年でも10位以内であった。一部英国やフランスの企業も含まれるが、軒並みほとんどがアメリカ合衆国によって占められている。ちなみに日本を代表する軍需企業の三菱重工は21位、2015年は36位、軍事分野による収益4000億円、軍事部門の占める割合は12%である。前年比+68%の収益増加であり、現在でも防衛にも力を入れていることが分かる。68位に川崎重工、69位に小松製作所が続く。ドルベースの計算なのでアメリカ合衆国が上位になりやすい傾向はあるが、それでもこの10位は別格だろう。上記の中でも有名な企業を一部紹介する。

 

 ①ロッキード・マーチン

 全売上高は3位(4.7兆円)。ほぼ売上の90%以上が軍事関係であり、兵器メーカー色が強い。日本ではあのロッキード事件で知られる。F-16ファイティングファルコンやF-22ラプター, F-35ライトニングⅡといった最新鋭のステルス戦闘機を製造する。源流は1909年より存在するが、ロッキード社とマーチン社が合併してできたのは1995年と最近である。その他、巨大輸送機C-5ギャラクシー、秘匿兵器SR-71ブラックバード、イージスシステム、ステルス戦闘機F-117ナイトホーク、バンカーバスターヘルファイアミサイル、トライデントなど。

 イージスシステムやステルス戦闘機など、先進的・革命的な兵器の製造に長ける。

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F-35 ライトニング2

 ②ボーイング

 全売上高は1位(9.4兆円)。航空機のイメージが強く、たしかに全世界に存在する民間航空機の75%がボーイング社製だ。だが、軍需部門も全売上の30%を占めるほどに大きく売上高は9兆円に上る。ボーイング社は1916年創立、B-29スーパーフォートレスなど爆撃機シリーズ(B-17フライイングフォートレス、B-52ストラトフォートレス)の生みの親でもある。日本人を数多く焼き殺したB-29を製造した企業の飛行機を、現在は多くの日本人が利用しているというのは皮肉なものである。他にもダブルローター式の輸送ヘリCH-47チヌーク、最強の戦闘ヘリAH-64アパッチ、汎用戦闘機F-15戦闘機イーグル、F/A18ホーネット、新型輸送機MV-22オスプレイなど質が高い兵器を量産している。爆撃機・ヘリコプター・汎用戦闘機など航空機全般の製造に優れている。

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爆撃機シリーズ

BAEシステムズ

 収益の90%以上が軍事部門である英国の兵器メーカー。1950年代には10社以上存在していた英国の航空機関連企業は1970年代に変革を迎え、内4社が合併してブリティッシュエアロスペースとなった。これが1999年に大手電機企業マルコーニ・エレクトリック・システムズと合併し、英国ないしはヨーロッパにおける巨大軍需企業BAEシステムズが誕生した。チャレンジャー戦車、兵員輸送車、砲、ユーロファイター、アスチュート級原子力潜水艦、クイーン・エリザベス級航空母艦などヨーロッパにおいて多岐にわたる兵器を製造。

 

 

④ ノースロップ・グラマン

 収益の80%を軍事関連が占める。1994年にノースロップ社とグラマン社が合併して誕生した。ステルス爆撃機B-2スピリット、早期警戒機E-2ホークアイ艦上戦闘機F-14トムキャットなどの航空機や、無人偵察機グローバルホーク無人攻撃機X-47ペガサスなどの無人機の他、アーレイバーク級駆逐艦、ロサンゼルス級原子力潜水艦ニミッツ級航空母艦(原子力空母、次級のジェラルド・R・フォード級もこの会社が製造する)など艦艇でも知られる。今後は戦闘機事業からは撤退するとみられ、無人機、艦艇の製造に強い。

 

 

エアバス

 全売上高は2位で7.3兆円。民間航空機で知られるヨーロッパのボーイング。軍事部門の売上は17%とボーイングと比べると兵器メーカー色は薄い。空中給油機や輸送機を製造。設立は1970年と比較的新しく、民間航空機市場をアメリカが独占したすることを危惧したフランスや当時の西ドイツが共同出資して立ち上げた経緯を持つ。現在はボーイングと熾烈な市場争いを繰り広げている。

 

 

 

 他は

レイセオン:SM(-1,-2,-3, -6),シリーズやシースパロー、トマホークにパトリオットなどのミサイル、CIWS、レーダーの製造、情報監視システムなど。特にミサイルに優れ、世界一のミサイルメーカーである。なお、電子レンジの発明企業でもある。

・ゼネラル・ダイナミクス:GAU(-8,-12,-19)シリーズなどのガトリング機関砲、バージニア原子力潜水艦、M1エイブラムス戦車(旧クライスラー製)、レオパルド戦車など陸上兵器が得意。

・L3は電子装備・各種モニターやセンサーなどの他、主に軍事諜報・偵察活動に関わる通信システム全般を担当。

 

また、この他にもアメリカ合衆国では将来の革新的兵器の基礎研究機関であるDARPA(国防高等研究計画局;Defense Advanced Research Projects Agency)やかつては原爆製造に関わり現在も安全保障上のための研究も行うロス・アラモス国立研究所など多数の研究機関がある。

 中国の兵器メーカーは数値を明確にせず、このようなランキングでは例年省かれる。

 ロシアも兵器メーカーを多数有するが東側の国であり、ドル市場に介入しにくいことからこういったランキングでは上位に食い込まない。ロシアの場合、音速爆撃機Tu-160ブラックジャックのツポレフや、アメリカ合衆国のFシリーズに対抗するSu-37ターミネーターなどの汎用戦闘機で知られるスホーイ、Mi-24ハインドなどヘリコプター製造で知られるロシアン・ヘリコプター(ミル設計局)、Migシリーズの汎用戦闘機で知られるミグなど有力な兵器メーカーは多い。100位以内には9社のロシア企業が確認できる。

 

参考資料(こちらは2013年中の全売上高で比較):

toyokeizai.net

 

2.日本の軍需産業

 世界の軍需産業は上記のような結果であったが、日本はどうだろうか。以下の表は先のサイトの中で日本国籍で掲載されていた企業である。

順位

企業名

軍事部門収益(億円)

軍事部門収益/全収益(%)

21

三菱重工業

4033

12

68

川崎重工業

884

7

69

小松製作所

884

6

77

NEC

805

3

81

富士通

696

2

83

三菱電機

682

2

97

ジャパンマリンユナイテッド

365

N/A

100

IHI

315

2

 収益の大きさからみても圧倒的に三菱重工が大きいことが分かる。三菱重工は艦艇・戦車・航空機など全般を担い、最近では悲願であった国産航空機MRJの実用化を目指している(ボーイング社製の航空機に頼らなくてもよい日は来るのか)。重機関連では川崎重工コマツが続く。NEC, 富士通, 三菱電機は各種電子装備や通信システムを担う。IHIは航空用エンジンなども開発する。100位以内に8社が食い込んでおり、ロシアが9社であることを考えると意外と多いといえるか。

 また、防衛省には防衛装備庁(旧技術開発研究本部がその他の兵器調達機関等と2015年に統合、武器輸出三原則の緩和に基づく措置である)にて兵器及びシステムの先端研究も行われ、アメリカ合衆国に似た組織(正確には組織ではない)であるImPACT(Impulsing PAradigm Change through disruptive Technologies Program;革新的研究開発促進プログラム、2014年頃から考案)といったものも最近できた。

 確実に安倍政権となってから兵器開発及び兵器の輸出意欲向上への機運が高まっている。三菱重工業の軍事部門の収益も2015度と比べて2016年度は1.5倍となり、防衛関係費は以下のグラフ(防衛省・自衛隊:予算等の概要より引用)でわかるように2018年度は5兆円を突破しようとしている。

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防衛関係費の推移

 

3. まとめ、兵器の必要性、戦争の本質

 これまでの結果を見ると、世界的には軍需産業の収益の多くはアメリカ合衆国の企業によって占められていることが分かる。アメリカ合衆国のすごいところは各社がそれぞれ得意分野・影響力を持ち、国防総省主導でそれらを組み合わせて兵器化を国家レベルで支援している点だ。兵器メーカーにとっては米軍への兵器供給だけでなく世界各国への兵器の販売が莫大な利益につながっていることだろう。また、その莫大な利益でさらなる優れた兵器を製造し、アメリカ合衆国の力を絶大なものへとしていく。優れた兵器を作ることはテクノロジーの進化につながり、進化したテクノロジーは民生にも転用される。実際、歴史上ではインターネットやGPS人工衛星、宇宙ロケット、コンピュータ、携帯電話、電子レンジ、民間機、大型船、自動車など兵器から民生へ転用されたものは数えきれない。すなわち、兵器開発を続けていくことで、アメリカ合衆国はより科学技術が優れ、豊かな国へなっていく。アメリカ合衆国本土自身が直接戦争に巻き込まれるとなると損失が出るであろうが、直接かかわらない戦い、例えば遠方の中東やアフガニスタン、アフリカでの戦争は兵器メーカーにとってはむしろ大歓迎であろう。しばらくこのあたりの地域での戦争はなくならない。戦争がなくなったとしてもそのころにはアメリカは他の国が追い付けないほど軍事的にも経済的にも強力な国家となっているだろう(すでに強力な国家であるが)。

 ヨーロッパはBAEシステムズや各国の協力によってそれなりの規模に収まっている。ロシアはもともとソ連時代から軍事を優先させてきていたため、ドル市場では10位以内に踏み込めていないものの、100位以内には何社も見受けられる。中国は数値を後悔しないため実態が不明である、これは中国らしい。

 日本も平和主義をうたう割には100位以内に8社もランクインしている。日本の防衛関係費は上昇の一途をたどっている。だが、これは必然なのだ。近年は北朝鮮情勢の悪化や安倍政権による安全保障強化の取り組みがあるためだ。だが、兵器製造がしやすくなったことは歓迎すべきである。

 そもそも兵器を一切持たずに訪れる平和など存在しない。人間はなぜ争うのか。答えは簡単である。人間には欲があるからだ。欲のない人間などいない。しかも人間によってその欲の種類は異なる。食べたい、性欲を満たしたい、寝たい、偉くなりたい、金が欲しい、仲間が欲しい、、、など様々だ。欲の種類が異なる集団が相対した場合(国家の場合、北朝鮮問題であれば核保有国としての地位をもってしてアメリカと対等になりたいという欲vsお前なんかを対等になんか扱いたくないという欲、か)、まずはそりゃあ妥協点を探すだろう。だが世の中、どうしても納得できないことというのはあるのである。北からすればこのまま弱小国家として終わることは妥協できないし、アメリカからすればそんな弱小国家アメリカを脅かす存在になってたまるかという思惑がある。欲が強いためにどうしても妥協できない場合があるのだ。この場合、話し合いなど意味を持たない。では、話し合いをしなけれ武力を持って戦い勝つしかないのか。否、互いに強力な武器を持ち、威嚇しあえばよいのだ。引き金を引けば自分も死ぬという場合、だれもその引き金を引くことはできない。死んでしまえば欲を満たせないからだ。引くとしたら狂人だろう。まあ、北朝鮮がその狂人である可能性があるが...

 

 基本的に死ぬのが怖い、死にたくないという正常な思考を持っているのならば、兵器による抑止力は絶対安定である(事実、戦後70年以上、大規模な対称的戦争は起こっていない)。強い兵器は身を守り、抑止力となり、平和を作る。ただし、狂人に持たせてはならない。死ぬのが怖い人間をトップにして持たせるべきである。金正恩が果たして死を恐れる人物か否かは多くの人にはわからないが。

 

 日本ももっと兵器開発に力を入れて強い兵器を製造すべきである。死の商人という言葉があり、兵器メーカーは一部の人間には忌み嫌われるようであるが、兵器は必要なものなのである。人の死で儲けていると卑下されるいわれはない。兵器が存在しなければ、そもそも平和は存在しない。暴れた犯罪者を抑えるのに警官は拳銃を使う。拳銃によって制圧するからこそ平和がある。ここで拳銃を使わなければ警官は殺害され民間人も死に、犯罪者の欲のままにされる。話し合いなど通用しない。通用するのは拳銃による脅し・抑止力である。死を恐れる犯罪者はこれでおとなしくなる。死を恐れぬ狂人はこれでも突進してきて撃たれるだろう。今のところ自国の確実な滅亡覚悟で突進してきた国は存在したことはない(日本でさえも原爆後、降伏を決めた。ここで降伏しなければ狂人である)。

 

 できることなら私も話し合いだけで平和になってほしいと思う。だが、人間にはそれができない。それをやるならすべての人間はすべての欲を妥協できる人間にならなくてはならない。

 「戦争反対」と唱えることは勿論よいことだ。平和は誰しもが求める。だが、「兵器反対」、「死の商人めこの野郎」などとただ叫ぶ人間がいれば是非尋ねてみたい。「どうしても妥協できないことをあなたは何も抵抗せずに諦めることはできますか」と。

 

 

 

紙を折る回数に関する研究

 

紙は何回まで折れるのか。

今回は結構理系要素の強めな話題の記事だ。というのも以前暇な時なんとなく自分でこの話題を試したくなったのでA4紙を折ることにしてみた。

よく聞く話としては「どんな紙でも8,9回までしか折ることができない」という。

こちらのyoutubeの動画

www.youtube.com

にあるように、43回折ると月に届くまでの距離になる、とトリビアの泉で紹介されたことは有名だ。

他にもYoutuberであるおるたなChannelがプレス機で実際どごまで折れるか挑戦していたりする。

www.youtube.com

これによればちゃんと折れていたのは8回まで。

実際に素手で私が挑戦してみた。

なお、折り方は1回前の折り目に対して直角に折る「直角折り」と、一方向に折る「巻物折り」の2種類がある。前者の方が上記の動画などでされていた折り方だ。より単純なモデルで議論したい、後述する公式を使って分析したいため後者の巻物折りで行く。

まずはA4の紙1枚を用意する。

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3回目

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6回目

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のように6回目で限界。写真ではよく見えないが、紙の厚さの大きさ的にこの時点でもう一回折るのは困難だ。6回目はペンチなどを使って無理やり折ったが、折れているかも怪しいくらいである。

 

とはいえ、A4紙で今回はこの結果だったの過ぎない。もっと大きい紙ならいけるのでは?という疑問も生じるだろう。

厚さtの紙を一方向へn回折った時、最低限必要な紙の長さ{Ln}を求める公式がある(なお、「直角折り」の方も導出したかったがこちらは2次元上になるため求めるのはかなり難しく割愛する)。 

{L_n= \frac{\pi t}{6}(2^n+4)(2^n-1)}

この公式はBritney Gallivan氏が2001年頃求めたもので、Britney Gallivan - Wikipediaにも載っている。彼女は1200mのトイレットペーパーを12回折ることに成功したそうだ。1200mあっても12回しか折れないのか?!

まずはこの式を導出してみよう。

巻物折りの場合、1次元で考えられるため簡単である。 1回紙を折ると、以下の図のように折り目の部分の円弧の長さ分だけ紙の長さが削られていく。

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厚さt長さLの紙が折られて、厚さ2t長さL/2+長さ{\pi t}の円弧を持つ図形へと変化した。この円弧の長さより紙の長さLが短いと、理論的には折ることができない。故に、{L_1 = \pi t}であるということができるだろう。厚さ0.09mmのA4紙に対しては0.28mmよりも短い紙では折ることができない。まず0.28mmよりも我々が扱う紙は長いため1回も折れないという紙はほぼ身近には存在しないだろう。

 

さて、2回折ると少し様子が変わる。

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先ほどの円弧がついたまま折られるため上の図のようになる。

円弧部分の長さの合計は{L_2 = \pi t + \pi t(1+2)}、故に{L_2 = 4 \pi t}です。

必要な長さは前の4倍となった。

さらに3回目となると...

 

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厚さ8t、長さL/8の厚紙となる。円弧が実はいくつかついている。先ほどまでと同様に計算すると...

{L_3 = 4 \pi t + \pi t(1+2+3+4)=14\pi t}となる。故に、1回目の14倍。折る度にどんどん必要な紙の大きさは大きくなっていく。

ちなみに4回目は同様にして

{L_4 = 14 \pi t + \pi t(1+2+3+4+5+6+7+8)=50\pi t}となる。

 

この傾向から次の漸化式が成り立つ。

{L_1=\pi t}

{L_{n+1}=Ln + \Sigma^{2^n}_{m=1} m \pi t}

この漸化式から最初に登場したこの式、{L_n= \frac{\pi t}{6}(2^n+4)(2^n-1)}が類推できる。よくある数列の問題と同じだが、数学的帰納法を用いてこれを証明すれば導出できたことになる。

まず、n=1の時だが、代入すれば成立することは明らか。{L_1 = \pi t}

次に、n=kが成立するとみなして、{L_{k+1}}について

{L_{k+1}=L_k+\Sigma^{2^k}_{m=1}m \pi t} 

{=\frac{\pi t}{6} (2^k+4)(2^k-1) + \pi t \frac{2^k(2^k+1)}{2}}

{=\frac{\pi t}{6} (2^{2k} +3*2^k -4 + 3*2^{2k} + 3*2^k)}

{=\frac{\pi t}{6} (2^{2k}*4 + 3*2^{k+1}-4)}

{=\frac{\pi t}{6}(2^{k+1}+4)(2^{k+1}-1)}

となり、n=k+1の時でも成り立つ。故に、当初の式は証明された。

 

さて、本式{L_n= \frac{\pi t}{6}(2^n+4)(2^n-1)}を用いてA4の紙を用いると何回まで折れるのか類推してみよう。

A4紙の厚さはだいたい0.09mmくらい。これを先の式に代入すれば、

1回折ると{2.8×10^{-4}}m=0.28mm 

2回折ると{1.1×10^{-3}}m=1.1mm

3回折ると{3.9×10^{-3}}m=3.9mm

4回折ると{1.4×10^{-2}}m=14mm

5回折ると{5.6×10^{-2}}m=52mm

6回折ると{2.0×10^{-1}}m=200mm

7回折ると789mm

8回折ると3120mm=3.12m!!

 急に8回目で上がる。横軸を折る回数にして縦軸を必要な紙の長さとすれば以下のようなグラフで表せる。桁違いである。

地球ー月間を超えるくらいのサイズの紙でなければ22回紙を折ることはできない。ちなみに、冒頭で紹介した、12回紙を折るのに必要な紙の大きさの理論値は791mなので、1200mの紙でそれだけ折れるのは理論通り。13回目は3100m以上必要だ。つまり日本列島サイズの紙を用意しても折れるのはせいぜい13回となる。

 

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また、紙を折る回数をnとすればその紙の厚みは{2^n}倍となっていく。

10回折れば1024倍であるため厚さ0.09mmでも92.16mmとなる。

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ちなみに22回折ると377m=東京タワーより少し高いくらいの厚みになるが、ここまで紙を折るためには地球ー月間くらいの長さの紙が必要だ。

冒頭のトリビアの泉で紹介されていたように43回折ればたしかに月までの距離をはるかに超えて79万kmとなる。

しかしながら、43回もおるためには少なくとも385光年の長さの紙が必要。

どんどん折っていくと上記のグラフのように急激に厚みは大きくなり、50回くらいで木星に届く。

このように、大変途方もない話となってしまう。

 

地球上で作れる紙の大きさはせいぜい40000mくらいであるためそれくらい巨大な紙を用意してもせいぜい14回しか折ることはできない。

今回は巻物折りで紙を折っていったときにどこまで折れるのか、どのくらいの紙が理論的に必要なのかを書き記した。最も身近なA4紙では6回が限界である。

 

普通の折り方である、直角折りでは先ほどのような式を導出するのが困難である。2次元であるため、先ほどの円弧を折り曲げる際に同様の考え方では問題が生じる。

何回が限界なのかは式を導出できなかったため不明だが、おそらく8回程度だと思われる。巻物折りと大して差はないと思われるが...

 

隕石に関する研究

 

 

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隕石衝突シミュレーション

1.隕石とは

 隕石とは、宇宙空間中の固体物質(氷塊、岩石など)が惑星の表面に落下してきたものである。小型のものはわりと頻繁に地球にも落下しており、たびたび目撃されている。


  

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 近年で有名な事例としてはロシアのチェリャビンスク州(州都チェリャビンスクシベリア鉄道の起点にして、人口100万を超える比較的大きい都市である)での隕石事件である。チェリャビンスクの隕石は空中で爆散したため(UFOの仕業とかいう噂もあるが...)、致命傷は免れた。しかし、ソニックブーム(Sonic Boom; 衝撃波)が発生し、市内のガラス窓などを粉砕した。そのため死者こそ出ていないものの1000人以上が負傷する惨事となった。

 

チェリャビンスクの隕石雲

 似たような事例では、ロシアでのツングースカ大爆発が隕石によるものとして知られている。1908年、ポドカメンナヤ・ツングースカ川上流(ポケモンに登場する「ポナヤツングスカ」の元ネタと思われる)にて突如発生した大爆発のことである。当時の記録によれば、半径30-50kmが炎上し、1000km以上離れた民家の窓ガラスが割れるほどの衝撃波が観測されたそうだ。幸い森林地帯であったため死傷者は確認されていないが、万一都市部に落ちていれば大惨事は免れなかっただろう。破壊力は5-15メガトン(from wiki)と考えられている。

 多くの隕石は大気圏での断熱圧縮による空力加熱で燃え尽きてしまう。一部の燃え残りが地上に飛来することで、これらの隕石のようにソニックブームや爆発を引き起こす。よく「大気との摩擦で...」という表現が用いられるが、これは誤りである。本レポートでは、隕石のソニックブームの発生原理、空力加熱の話、そして隕石の威力や兵器転用の可能性などについてまとめたい。

 

2.ソニックブーム

 物体が超音速で飛行すると、衝撃波が発生する。黒い点の物体が音を発しながら左に音速で進んでいるとする(以下の図)。まず一番左の図における赤い点からスタートし、物体は音速であるから、スタート地点で発した音(同心円状に広がる赤い点線)と一緒に進む。真ん中の図では、青の点に来た時に発した音とも同じ速さであるため、青い点で発した音と一緒に物体は進む。同様にして一番右の図でも緑の点で発した音と同じ速度であるため、音は物体と同時に進み、重なり合う。音は物体より先に進むことはなく、この重なり合っている面をいわゆる衝撃波と呼び、この面の境界では圧力や温度が極端に大きく変化する。

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ソニックブームの発生

 物体が音速を超える、超音速の場合、物体の後方に衝撃波が形成されることになる。この衝撃波は以下の図のように円錐型となり、「マッハ円錐」と呼称される。反頂角を{\mu}とすれば、マッハ数M(速度/音速、マッハ1は時速約1000km)を用いて、{\sin{\mu}=\frac{1}{M}}の関係がある。

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マッハ円錐(http://www.rikou.ryukoku.ac.jp/images/journal57/RJ57-03.pdfより引用)

3.空力加熱

 先ほども申し上げたように、隕石は大気との摩擦で燃え尽きるのではない。超音速で進む場合先ほどのように衝撃波が発生し、あまりの一瞬の間に変化が起こるため、外部との熱接触のない断熱過程が起こる。短時間に大気が圧縮されるため、これは断熱圧縮過程である。断熱過程の場合、温度T, 体積V, 比熱比{\gamma}(乾燥空気は約1.4)に対して{TV^{\gamma-1}=const}が成り立つ。すなわち、大気が圧縮されれば温度は上昇する。この急激な断熱圧縮を経ると物体の温度はどの程度上昇するのだろう。

 実は、イメージ通りかもしれないが、速度が速いほどにこの断熱圧縮は強くなり、温度も大きくなる。物体のマッハ数をM、衝撃波前後の温度を{T_1}, {T_2}とすると、次の式が成り立つ(導出を知りたい場合、 Liepmann,H.W.andRoshko,A.,ElementsofGas Dynamics, (1957), Wiley. が参考になる)。

 {\frac{T_2}{T_1}=1+\frac{2(\gamma-1)}{(\gamma+1)^2} \frac{\gamma M^2 +1}{M^2}(M^2-1)}

 

この式を見てわかるように、M<1の時は右辺が負になって成り立たない。条件としてはM>1となる。なお、これは物体前方において垂直に衝撃波が形成されている場合の式であり、物体の側面や別の部分では斜め衝撃波が形成されるため幾分か温度上昇は抑えられる。

 要するに、物体前方が極端に熱くなるということだ。

さて、どの程度熱くなるかだが、仮に隕石のスピードをマッハ25、高度80km地点の温度を200Kとすれば、{T_2=24494K}にもなる。実に122倍にも温度が上昇する(ただし、実際には複数の要因からこれほど温度は上昇しない)。この猛烈な温度上昇によって隕石の大部分は燃え尽きてしまうのである。

 

4.隕石の威力

 地球にとって隕石は危険でもないかもしれないが、我々生命体にとっては一大事である。隕石衝突時の破壊力は計り知れない。例えば、ガンダムで登場したコロニー落としのケースを考えてみよう。ガンダムwiki(https://gundam.wiki.cre.jp/wiki/スペースコロニー)によれば、スペースコロニーは質量100億トン、全長35km、直径6.4kmの円筒型である。これが地球公転軌道上で地球の重力につかまって地球に接近し、地表に激突した場合にかかるエネルギーを計算したい。基本的に生じるエネルギーは運動エネルギーなので質量をm、衝突時の速度をvとして{\frac{1}{2} m v^2}で表せる。衝突時の速度を求めたい。

 まず隕石の位置をr(t)とし、静止軌道上での速度を{v_0}とする。万有引力定数をG、地球の質量をM、地球半径をR、隕石質量をmとすれば

 {m \frac{dr(t)^2}{dt^2}= G \frac{mM}{r(t)^2}}

 と位置r(t)での隕石の運動方程式が書ける。

なお、等加速度運動の公式より時刻tにおいて

{v^2-v_0^2=2 (G \frac{M}{r(t)^2}) r(t) }

が成り立つ。隕石衝突時{t=t_0}において、{r(t_0)=R, v(t_0)=v}として

{v=\sqrt{v_0^2+2gR}}

とかける。gを地球上での重力加速度として{9.8m/s^2,  R=6400km, v_0=10km/s}とする(地球の重力圏を脱出できる速度である第二宇宙速度は11.2km/sである。地球の重力につかまらずに地球公転軌道を周回し続けるには、その物体の速度の(地球にとっての)r方向成分がこの11.2km/s以上で出なければならない。地球公転軌道上の物体は全て太陽の重力によって約30km/sで周回しているため、第二宇宙速度を通常は下回ることはない。しかし、公転軌道はケプラーの法則からわかるように楕円軌道であるから近日点や遠日点では若干周回速度は異なる上、地球に対する向きもその都度近づき方で異なる。そのため、地球の重力につかまることもある。ここでは第二宇宙速度以下の10km/sとした)。計算すると、{v=15km/s}となる。

 この速度でスペースコロニーが落下すると、空気抵抗を考慮しなければ運動エネルギーは{1.125 \times10^18J}、すなわちTNT換算({4.184 \times10^9J}TNT火薬1tとしたエネルギー換算)をすれば269メガトンにもなる。広島型原爆リトルボーイは15キロトンであるため、実にその17000倍にもなる。ちなみに1961年にソ連で試験された人類史上最大の水素爆弾とされるツァーリ・ボンバは50メガトンであるため、これの5倍程度である。また、この威力は直径210mの隕石の衝突に相当する(https://impact.ese.ic.ac.uk/ImpactEarth/cgi-bin/crater.cgi?dist=3000&diam=100&pdens=1500&pdens_select=0&vel=17&theta=90&tdens=&tdens_select=1500参照)。なお、大気圏での焼失する部位や分離する部位もあるので実際はこれより小さい。この数値は最大でもこれくらいの威力になる、とみるべきである。オーストラリア大陸の14%が消滅するのも無理はないだろう。

 地球滅亡、というより人類滅亡クラスの隕石がどの程度かは状況によってかなりの差はみられるが、直径1km以上とされている。先のサイトで計算すると27100メガトン、つまりツァーリ・ボンバ542個分という途方もない破壊力となる。

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スペースコロニーの落下

5.兵器としての性質

 核兵器が無効化された場合、核さえも上回る殺傷能力を持つ兵器が質量兵器であると思う。現在の人類では宇宙空間に出るのがやっとという状態だが、それが容易になれば隕石は兵器として非常に強力なものである。事実、アメリカ合衆国は神の杖(Rods From God)というトンデモ兵器を考案している。これは低軌道上の人工衛星からタングステン性の巨大な「槍」を地球めがけて投下し、質量爆弾として攻撃すると想定されている兵器である。宇宙兵器の保有は禁止されているが、アメリカ合衆国は批准していないため関係がない。条約というものがいかにお飾りか分かる、罰則を設けるなどの強制力のない法令など効力を持たないのだ。核兵器のような大規模攻撃というより地下への攻撃を重点としているようであるが、いずれにせよ大量破壊兵器のたぐいであることは間違いない。

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神の杖