ダヴィンチの研究所

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軍事産業に関する研究

 

 

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1.世界の軍需企業

 日本に住んでいるとつい軍需産業のことなど考えない。死の商人と揶揄・卑下されることもある。しかし世界を見てみると、軍事というものの持つ影響力・必要性・役割は極めて大きい。テクノロジーの進歩によって軍事力はかつてより飛躍的に大きくなり、現在進行形で進化し続けている。これらハイテクな兵器は世界のどんな企業で生産されているのか。軍需企業といえばこの国、アメリカ合衆国である。この国にはローキード・マーチン、ボーイングノースロップ・グラマンなど名だたる世界的軍需大企業がある。軍事に関するアメリカ合衆国の出版会社Sightline Media Groupによる調査(Top 100 | Defense News, News about defense programs, business, and technology)によれば、2016年中での軍事関連分野による収益が大きいトップ10企業は次の表のとおりである。

順位

企業名

国籍

軍事部門収益

(億円)

軍事収益/全収益(%)

1

ロッキード・マーチン

(Lockheed Martin)

アメリ

合衆国

43468

92

2

ボーイング(Boeing)

アメリ

合衆国

29500

31

3

BAEシステムズ(BAE Systems)

英国

23621

91

4

レイセオン・カンパニー

(Raytheon Company)

アメリ

合衆国

22384

93

5

ノースロップ・グラマン

(Northrop Grumman)

アメリ

合衆国

20200

82

6

ゼネラル・ダイナミックス

(General Dynamics)

アメリ

合衆国

19696

63

7

エアバス(Airbus)

オランダ

フランス

12321

17

8

L3・テクノロジー

(L3 Technologoies)

アメリ

合衆国

8879

84

9

レオナルド(Leonardo)

イタリア

8526

64

10

タレス(Thales)

フランス

8362

50

 1-10位は前年2015年でも10位以内であった。一部英国やフランスの企業も含まれるが、軒並みほとんどがアメリカ合衆国によって占められている。ちなみに日本を代表する軍需企業の三菱重工は21位、2015年は36位、軍事分野による収益4000億円、軍事部門の占める割合は12%である。前年比+68%の収益増加であり、現在でも防衛にも力を入れていることが分かる。68位に川崎重工、69位に小松製作所が続く。ドルベースの計算なのでアメリカ合衆国が上位になりやすい傾向はあるが、それでもこの10位は別格だろう。上記の中でも有名な企業を一部紹介する。

 

 ①ロッキード・マーチン

 全売上高は3位(4.7兆円)。ほぼ売上の90%以上が軍事関係であり、兵器メーカー色が強い。日本ではあのロッキード事件で知られる。F-16ファイティングファルコンやF-22ラプター, F-35ライトニングⅡといった最新鋭のステルス戦闘機を製造する。源流は1909年より存在するが、ロッキード社とマーチン社が合併してできたのは1995年と最近である。その他、巨大輸送機C-5ギャラクシー、秘匿兵器SR-71ブラックバード、イージスシステム、ステルス戦闘機F-117ナイトホーク、バンカーバスターヘルファイアミサイル、トライデントなど。

 イージスシステムやステルス戦闘機など、先進的・革命的な兵器の製造に長ける。

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F-35 ライトニング2

 ②ボーイング

 全売上高は1位(9.4兆円)。航空機のイメージが強く、たしかに全世界に存在する民間航空機の75%がボーイング社製だ。だが、軍需部門も全売上の30%を占めるほどに大きく売上高は9兆円に上る。ボーイング社は1916年創立、B-29スーパーフォートレスなど爆撃機シリーズ(B-17フライイングフォートレス、B-52ストラトフォートレス)の生みの親でもある。日本人を数多く焼き殺したB-29を製造した企業の飛行機を、現在は多くの日本人が利用しているというのは皮肉なものである。他にもダブルローター式の輸送ヘリCH-47チヌーク、最強の戦闘ヘリAH-64アパッチ、汎用戦闘機F-15戦闘機イーグル、F/A18ホーネット、新型輸送機MV-22オスプレイなど質が高い兵器を量産している。爆撃機・ヘリコプター・汎用戦闘機など航空機全般の製造に優れている。

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爆撃機シリーズ

BAEシステムズ

 収益の90%以上が軍事部門である英国の兵器メーカー。1950年代には10社以上存在していた英国の航空機関連企業は1970年代に変革を迎え、内4社が合併してブリティッシュエアロスペースとなった。これが1999年に大手電機企業マルコーニ・エレクトリック・システムズと合併し、英国ないしはヨーロッパにおける巨大軍需企業BAEシステムズが誕生した。チャレンジャー戦車、兵員輸送車、砲、ユーロファイター、アスチュート級原子力潜水艦、クイーン・エリザベス級航空母艦などヨーロッパにおいて多岐にわたる兵器を製造。

 

 

④ ノースロップ・グラマン

 収益の80%を軍事関連が占める。1994年にノースロップ社とグラマン社が合併して誕生した。ステルス爆撃機B-2スピリット、早期警戒機E-2ホークアイ艦上戦闘機F-14トムキャットなどの航空機や、無人偵察機グローバルホーク無人攻撃機X-47ペガサスなどの無人機の他、アーレイバーク級駆逐艦、ロサンゼルス級原子力潜水艦ニミッツ級航空母艦(原子力空母、次級のジェラルド・R・フォード級もこの会社が製造する)など艦艇でも知られる。今後は戦闘機事業からは撤退するとみられ、無人機、艦艇の製造に強い。

 

 

エアバス

 全売上高は2位で7.3兆円。民間航空機で知られるヨーロッパのボーイング。軍事部門の売上は17%とボーイングと比べると兵器メーカー色は薄い。空中給油機や輸送機を製造。設立は1970年と比較的新しく、民間航空機市場をアメリカが独占したすることを危惧したフランスや当時の西ドイツが共同出資して立ち上げた経緯を持つ。現在はボーイングと熾烈な市場争いを繰り広げている。

 

 

 

 他は

レイセオン:SM(-1,-2,-3, -6),シリーズやシースパロー、トマホークにパトリオットなどのミサイル、CIWS、レーダーの製造、情報監視システムなど。特にミサイルに優れ、世界一のミサイルメーカーである。なお、電子レンジの発明企業でもある。

・ゼネラル・ダイナミクス:GAU(-8,-12,-19)シリーズなどのガトリング機関砲、バージニア原子力潜水艦、M1エイブラムス戦車(旧クライスラー製)、レオパルド戦車など陸上兵器が得意。

・L3は電子装備・各種モニターやセンサーなどの他、主に軍事諜報・偵察活動に関わる通信システム全般を担当。

 

また、この他にもアメリカ合衆国では将来の革新的兵器の基礎研究機関であるDARPA(国防高等研究計画局;Defense Advanced Research Projects Agency)やかつては原爆製造に関わり現在も安全保障上のための研究も行うロス・アラモス国立研究所など多数の研究機関がある。

 中国の兵器メーカーは数値を明確にせず、このようなランキングでは例年省かれる。

 ロシアも兵器メーカーを多数有するが東側の国であり、ドル市場に介入しにくいことからこういったランキングでは上位に食い込まない。ロシアの場合、音速爆撃機Tu-160ブラックジャックのツポレフや、アメリカ合衆国のFシリーズに対抗するSu-37ターミネーターなどの汎用戦闘機で知られるスホーイ、Mi-24ハインドなどヘリコプター製造で知られるロシアン・ヘリコプター(ミル設計局)、Migシリーズの汎用戦闘機で知られるミグなど有力な兵器メーカーは多い。100位以内には9社のロシア企業が確認できる。

 

参考資料(こちらは2013年中の全売上高で比較):

toyokeizai.net

 

2.日本の軍需産業

 世界の軍需産業は上記のような結果であったが、日本はどうだろうか。以下の表は先のサイトの中で日本国籍で掲載されていた企業である。

順位

企業名

軍事部門収益(億円)

軍事部門収益/全収益(%)

21

三菱重工業

4033

12

68

川崎重工業

884

7

69

小松製作所

884

6

77

NEC

805

3

81

富士通

696

2

83

三菱電機

682

2

97

ジャパンマリンユナイテッド

365

N/A

100

IHI

315

2

 収益の大きさからみても圧倒的に三菱重工が大きいことが分かる。三菱重工は艦艇・戦車・航空機など全般を担い、最近では悲願であった国産航空機MRJの実用化を目指している(ボーイング社製の航空機に頼らなくてもよい日は来るのか)。重機関連では川崎重工コマツが続く。NEC, 富士通, 三菱電機は各種電子装備や通信システムを担う。IHIは航空用エンジンなども開発する。100位以内に8社が食い込んでおり、ロシアが9社であることを考えると意外と多いといえるか。

 また、防衛省には防衛装備庁(旧技術開発研究本部がその他の兵器調達機関等と2015年に統合、武器輸出三原則の緩和に基づく措置である)にて兵器及びシステムの先端研究も行われ、アメリカ合衆国に似た組織(正確には組織ではない)であるImPACT(Impulsing PAradigm Change through disruptive Technologies Program;革新的研究開発促進プログラム、2014年頃から考案)といったものも最近できた。

 確実に安倍政権となってから兵器開発及び兵器の輸出意欲向上への機運が高まっている。三菱重工業の軍事部門の収益も2015度と比べて2016年度は1.5倍となり、防衛関係費は以下のグラフ(防衛省・自衛隊:予算等の概要より引用)でわかるように2018年度は5兆円を突破しようとしている。

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防衛関係費の推移

 

3. まとめ、兵器の必要性、戦争の本質

 これまでの結果を見ると、世界的には軍需産業の収益の多くはアメリカ合衆国の企業によって占められていることが分かる。アメリカ合衆国のすごいところは各社がそれぞれ得意分野・影響力を持ち、国防総省主導でそれらを組み合わせて兵器化を国家レベルで支援している点だ。兵器メーカーにとっては米軍への兵器供給だけでなく世界各国への兵器の販売が莫大な利益につながっていることだろう。また、その莫大な利益でさらなる優れた兵器を製造し、アメリカ合衆国の力を絶大なものへとしていく。優れた兵器を作ることはテクノロジーの進化につながり、進化したテクノロジーは民生にも転用される。実際、歴史上ではインターネットやGPS人工衛星、宇宙ロケット、コンピュータ、携帯電話、電子レンジ、民間機、大型船、自動車など兵器から民生へ転用されたものは数えきれない。すなわち、兵器開発を続けていくことで、アメリカ合衆国はより科学技術が優れ、豊かな国へなっていく。アメリカ合衆国本土自身が直接戦争に巻き込まれるとなると損失が出るであろうが、直接かかわらない戦い、例えば遠方の中東やアフガニスタン、アフリカでの戦争は兵器メーカーにとってはむしろ大歓迎であろう。しばらくこのあたりの地域での戦争はなくならない。戦争がなくなったとしてもそのころにはアメリカは他の国が追い付けないほど軍事的にも経済的にも強力な国家となっているだろう(すでに強力な国家であるが)。

 ヨーロッパはBAEシステムズや各国の協力によってそれなりの規模に収まっている。ロシアはもともとソ連時代から軍事を優先させてきていたため、ドル市場では10位以内に踏み込めていないものの、100位以内には何社も見受けられる。中国は数値を後悔しないため実態が不明である、これは中国らしい。

 日本も平和主義をうたう割には100位以内に8社もランクインしている。日本の防衛関係費は上昇の一途をたどっている。だが、これは必然なのだ。近年は北朝鮮情勢の悪化や安倍政権による安全保障強化の取り組みがあるためだ。だが、兵器製造がしやすくなったことは歓迎すべきである。

 そもそも兵器を一切持たずに訪れる平和など存在しない。人間はなぜ争うのか。答えは簡単である。人間には欲があるからだ。欲のない人間などいない。しかも人間によってその欲の種類は異なる。食べたい、性欲を満たしたい、寝たい、偉くなりたい、金が欲しい、仲間が欲しい、、、など様々だ。欲の種類が異なる集団が相対した場合(国家の場合、北朝鮮問題であれば核保有国としての地位をもってしてアメリカと対等になりたいという欲vsお前なんかを対等になんか扱いたくないという欲、か)、まずはそりゃあ妥協点を探すだろう。だが世の中、どうしても納得できないことというのはあるのである。北からすればこのまま弱小国家として終わることは妥協できないし、アメリカからすればそんな弱小国家アメリカを脅かす存在になってたまるかという思惑がある。欲が強いためにどうしても妥協できない場合があるのだ。この場合、話し合いなど意味を持たない。では、話し合いをしなけれ武力を持って戦い勝つしかないのか。否、互いに強力な武器を持ち、威嚇しあえばよいのだ。引き金を引けば自分も死ぬという場合、だれもその引き金を引くことはできない。死んでしまえば欲を満たせないからだ。引くとしたら狂人だろう。まあ、北朝鮮がその狂人である可能性があるが...

 

 基本的に死ぬのが怖い、死にたくないという正常な思考を持っているのならば、兵器による抑止力は絶対安定である(事実、戦後70年以上、大規模な対称的戦争は起こっていない)。強い兵器は身を守り、抑止力となり、平和を作る。ただし、狂人に持たせてはならない。死ぬのが怖い人間をトップにして持たせるべきである。金正恩が果たして死を恐れる人物か否かは多くの人にはわからないが。

 

 日本ももっと兵器開発に力を入れて強い兵器を製造すべきである。死の商人という言葉があり、兵器メーカーは一部の人間には忌み嫌われるようであるが、兵器は必要なものなのである。人の死で儲けていると卑下されるいわれはない。兵器が存在しなければ、そもそも平和は存在しない。暴れた犯罪者を抑えるのに警官は拳銃を使う。拳銃によって制圧するからこそ平和がある。ここで拳銃を使わなければ警官は殺害され民間人も死に、犯罪者の欲のままにされる。話し合いなど通用しない。通用するのは拳銃による脅し・抑止力である。死を恐れる犯罪者はこれでおとなしくなる。死を恐れぬ狂人はこれでも突進してきて撃たれるだろう。今のところ自国の確実な滅亡覚悟で突進してきた国は存在したことはない(日本でさえも原爆後、降伏を決めた。ここで降伏しなければ狂人である)。

 

 できることなら私も話し合いだけで平和になってほしいと思う。だが、人間にはそれができない。それをやるならすべての人間はすべての欲を妥協できる人間にならなくてはならない。

 「戦争反対」と唱えることは勿論よいことだ。平和は誰しもが求める。だが、「兵器反対」、「死の商人めこの野郎」などとただ叫ぶ人間がいれば是非尋ねてみたい。「どうしても妥協できないことをあなたは何も抵抗せずに諦めることはできますか」と。